魔法少女リリカルなのはViVid第26話~わたしの魔法 ~

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サイネリアの聖羅夢です。本年も全力全開で「魔法少女リリカルなのはViVid」を応援中! 
夏コミ原稿で遅れましたが、第26話の考察・批評・解説コーナーはじまります。
タイトル:Memory;26☆「プライムマッチ!」

【登場人物】16名
高町ヴィヴィオ アインハルト・ストラトス リオ・ウェズリー コロナ・ティミル
高町なのは オットー ノーヴェ・ナカジマ ウェンディ・ナカジマ ディエチ・ナカジマ 
ルーテシア・アルピーノ  シャンテ・アピニオン
ハリー・トライベッカ+舎弟3人(リンダ・ルカ・ミア)  エルス・タスミン

ハリーVSエルスの試合と、次戦で対戦するアインハルトとコロナを描いた一話。

<ハリーとエルスの因縁>
#22で、昨年エルスはハリーと対戦し、敗戦したことが語られている。その際、ハリーとヴィクトーリアにバインドを使用し、その魔法に自信をもっていたことから、バインド系の魔法を得意とするファイターであることが分かる。エルスが準備してきた“新兵器”が伏線となっていたわけだが、今話ではまだ披露せず。序盤戦は挨拶代わりにお互いの技を出した試合運びであった。

エルスの人格と性格についてだが、学校で生徒会長を務めていることから品行の良い優等生であるのだろう。番長を不良生徒扱いしていることから、ルールには厳しい性格でる反面、自身のプライドを傷つけられることには感情的になるようだ。結界魔導師の異名から、戦闘形態は「手錠」を武器として、転送と遠隔操作で対象を結界内に拘束するスタイルのようである。

<ハリーの喧嘩戦法>
ハリーは自身に負傷を負うことも厭わない荒業戦法で金属環を破壊。エルスはこんな脱出方法があるとは思いもよらなかったのでしょうね。我流ゆえにセオリー無視の戦いができるのである。そしてハリーの十八番となる射砲撃魔法は、なのはの「ディバインバスター」を彷彿する砲撃であった。デバイスから放つなのはと違い、片手拳から放つハリーは、相当な魔力の持ち主であると推測する。

<コロナとアインハルト>
コロナが見つけた戦う理由。自分一人だけで戦うのではなく、自分の魔法があるのは、ヴィヴィオやリオ、ノーヴェ・オットー、ルーテシアらがいたおかげであることに感謝しているコロナ。みんなの想いを魔法にこめて、コロナはアインハルト打倒を誓うのだった。
アインハルトはコロナ相手に手加減することなく、全力で挑む心構えで練習に打ち込む。心の迷いはないように思えるが……。

コロナが抱える不安、そしてためらいも自分自身で答えをみつけており、精神面でも成長したことを描いている。
自分自身と受け継がれた想いの為に戦うアインハルトと、仲間の想いを力にして戦うコロナ。2人の対照的な姿が力強く伝わるのだった。

サイネリア発行「魔法少女リリカルなのはViVid5 笑顔の笑顔」より
【タイトル】Memory;26☆「プライムマッチ!」
【扉絵・煽り文】たぎる闘志は闘士の証- 目指すは十代最強女子!!
【あらすじ】
エリートクラス二回戦を勝ち抜いた一同は翌週の三回戦に備えて各々調整することに。コロナとアインハルトはチームナカジマ内での同門対決、ヴィヴィオも見知ったミウラとの対決を控えて、皆を温かく見守るなのはも少し気を遣う。
 祝日に開催されるプライムマッチの生観戦には、試合まで日があるヴィヴィオとリオだけが観戦に行き、シャンテとルーテシアと合流する。プライムマッチの第一回戦は結界魔導師エルスと砲撃番長ハリーの因縁の対決。
 アインハルトとの対戦を控えたコロナはオットーの指導の下、調整に励む。だが、実力差のあるアインハルトとの対戦を前にして、一瞬弱気を吐露したかのように見えてオットーをヒヤリとさせるが、応援してくれるみんなの為に勝つと宣言する。一方、アインハルトはオーバーワークとも言える練習をこなして自分を鍛え上げることに執着していた。
 会場では遂にエルスとハリーの対戦がスタート。開始早々にパワーアップした拘束魔法でハ
リーを捕まえることに成功したエルスだったが、ハリーの規格外のパワーの前に完全制圧とは
ならず逆に反撃を受けて大ダメージを負ってしまう。因縁対決の二人の戦いは、まだ始まった
ばかりなのだ。《S2》

【解説】
チームナカジマの面々の二回戦突破が決まっているので、本話では調整中心の抑え目の展開。スポーツ物では避けて通れないコロナとアインハルトの同門対決が間近に迫って来ていることもあり、お互い心中穏やかでない様子が演出され、周りの仲間の心配もあって試合日までの雰囲気を静かに盛り上げている。またプライムマッチのエルスとハリーの試合が無駄にうるさく熱いので(褒めているのです)、コロナとアインハルトの秘めた想いとの差異もよく出ているのではなかろうか。

《プライムマッチ》
 我々の現実世界で行われるスポーツ興行と同じで、注目カードは祝日開催のプライムマッチとされ特別に注目されるような環境下で行われるようだ。本編中のスタジアムは大観衆で大入り満員というわけで、チケットを確保するのも大変だったと思うがヴィヴィオらは選手枠で確保とかしてもらえたんだろうかと、ふと思ったり。

《コロナとアインハルト》
 なのはシリーズ全般に言えることだが、昔気質な少年マンガのキャラクターの様に1キャラ
クターに1つの性格付け、しかも無駄に積極的で熱いというような分かりやすいテンプレート
通りの人物設定は少なく、大半の人物が実年齢以上に内省的で老成した振る舞いをする(子供
は大人っぽいのとは逆に、大人は子供っぽくもある)。そういうのが基本だとコロナとアイン
ハルトの同門対決という折角のイベントも、ハリーとエルスの対決の様に分かりやすく盛り上
げるのが割と難しいと思われ、原作・作画共に腕の見せ所となるのだ。
 コロナは地力ではアインハルトには及ばないという設定なので、モチベーションを高めるの
が難しいわけだが最初から負けを期して戦うわけでもなく、「弱気は最大の敵」と言わんばか
りに気を高めている。己に勝たないと相手にも勝てないだろうし。アインハルトへの切り札は
本話ではまだ明かされない。
 覇王流が世界最強であることを自らの手で証明しなければならない使命を背負っているアインハルトは、実力では優位に立っている筈なのだが、心理面ではコロナ以上に余裕が無い状況である。コロナが仲間のバックアップを信じて作中でも強調しているのとは逆に、アインハルトはその孤高さ故に自分を追い込んで行く。対戦相手が誰だろうと手を抜くことなく全力で叩き潰す勢いだと思うが(コロナが既知の相手だけに余分に力が入っている)、ディエチが婉曲にペースダウンを指示してもそのままマイペースを維持しているのはなかなか面白い。極限まで研ぎ過ぎるあまり、もしかすると折れちゃいそうな儚さがアインハルトの魅力の一つだが。

《スタンドの様子》
 エルスとハリーがリングに入場してくる前後のカットにスタジアムのスタンドが描写された
カットがあるが、お客さんが贔屓の選手を応援する横断幕やボード、ゲートフラッグ(ゲーフ
ラ)のようなものを掲げているようにも見える。特にゲーフラは日本だとJリーグやプロ野球
の応援でお馴染みの小道具なのだが、海外だとサッカーに加えてプロレスでもファンが使う応
援道具として定着している。アメリカのプロレス団体WWEはレスラーの善玉、悪玉といった
キャラクター分けや対戦でのストーリー付けを強調した運営をしているので、それに沿った個
性的なゲーフラやボードをファンが用意することで会場の盛り上げに寄与しるという(時に乱
立しすぎてカオスな状態にもなるらしいが)。キャラクターの個性を最大限生かした作風であ
る本作に於いて、WWEのような格闘技興行の雰囲気がインスパイアされていたとしても不思
議ではない。大会規模ではFIFAワールドカップを思わせる部分もあり、こういった背景描
写の充実が地味ながら世界観の構築と広がりに寄与してのではなかろうか。

《エルスの新兵器》
 「Memory;22」で「例の新兵器」と内心呟いていたのが、トリッキーな位置から本物の鎖付き金属環を転送して操り相手を押さえ込む「アレスティングネット」だと思われる。魔法力で枷を構成したバインドでは魔法力の強さによってあっさり解除されてしまうので、物理的拘束法に出たというわけだが、ハリーのダメージを厭わない強引な抵抗にあって利き手が自由にされてしまったのはエルスからすれば想定外だったであろう。しかし、胴サイズまで拘束してしまう金属環をコツコツと用意したエルスの涙ぐましい下ごしらえを見るに、この一戦に期する部分が大きかったのであろうと思われる。《S2》

【一言&重箱の隅つつき】
 プライムマッチが行われるドーム型スタジアムの外観がナゴヤドーム風な感じ。コロナが勝ち目が薄いことを訊ねられ「そ それはもちろん-」と少し慌てた様子を見せるオットーだが(直後にダブルカラーの詰襟を緩めている描写もあるから、冷や汗をかいたのかも)、コロナが先を制して言葉を紡いでいるので、気休めを言うことなく済んでいる。
エルスが制服姿からバリアジャケット姿に変身する時に、一瞬メガネが消える演出は細かい。「もしかして本戦時には顔面打撃もあるからメガネ無し?」とか焦った好事家も一転安堵するメガネは身体の一部です仕様は嬉しい限り(笑)。セコンドの女の子二人もメガネ女子だし、
拘ってるなー。《S2》

【最終ページ・煽り文】負けられないライバルがいる!


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魔法少女リリカルなのはViVid第9話考察
Excerpt: 【タイトル】Memory;09「インターミドル・チャンピオンシップ」
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Tracked: 2015-06-01 23:42