うみねこのなく頃に 第２２話～ただ、己の欲望のままに～

タイトル『problem child』とは、チェス用語でポーンが下手な位置にあって動けないビショップのこと。問題児を指しており、本話では金蔵と真里亜のことを指しているのではないだろうか。

はにゅう丸で六軒島に向かっている縁寿のストーリーはいったんお休み。再び１９８６年１０月４日の六軒島に遡る。
これまで明かされなかった第一の晩の生贄儀式の様子が明らかにされるものの、戦人が“目に見えるものが真実なんて信じない”とする思考をもったことは成長の証でもある。

絵羽と楼座が碑文の謎を解いた前エピソードとは異なったストーリーであり、この世界で絵羽が死んだことによって縁寿の将来も変わることになる。第一の晩が、密室での殺人ではなかったことも気になる点である。
これまでのエピソードと違うのは、ベアトリーチェからの手紙がなく、碑文を解かなければならない状況ではなかったこと。大人組が誰一人として碑文の謎解きをしていないことから、子供組に至っては、魔女の存在も碑文の解読すらもかかわりの無いままである。
この世界の魔女ベアトリーチェ的な存在が金蔵であるのだが、黄金の蝶の描写がないことがベアトリーチェとの違いを表している。煉獄の七姉妹よりも上位の存在を召喚し、儀式を遂行させようとしているのだが、実行犯が人間であることを証明できなければ戦人の負けとなることには変わりない。金蔵死亡説を否定する為につくられた舞台ともいえるので、ベアトリーチェ側に有利な設定である。

もうひとつの世界が真里亜と楼座との母娘喧嘩。ダークサイドに堕ちた真里亜を描いたともいえ、人を幸せにする魔法を自己の欲望を満たす為に使いつづけており、ベアトリーチェの共犯となる可能性を示唆している。真里亜の二面性を表すための演出とみてよいだろう。

ラムダデルタと接触した縁寿が、戦人に対してどこまで協力していくのか？
天草と六軒島に向かった縁寿のストーリーと交差していくであろうことから、歯切れの悪いストーリー展開にならなければよいのだが……。